通常非公開の仏足石・西門など見学

京都

2019.8.9

清水寺改修バックステージツアー

開催レポート

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【この企画は】

2020年まで「平成の大修理」が行われている清水寺。
建物の経てきた歴史に真摯に向き合い、
未来へと受け継ぐべき姿を見据える修理の現場を間近見学。
また、通常は非公開の成就院特別拝観もお楽しみいただきました。

僧侶から聴く清水寺のあり方

京都随一の観光名所である清水寺で開催された本ツアーは、普段目にすることができない清水寺の内部を見学できるというもの。はじめに向かったのは、清水寺が重要なお客様をお迎えする迎賓殿だ。今回のツアーを案内してくれたのは、執事補・大西英玄(えいげん)氏。
日本人なら1度は訪れたことがあるであろう清水寺は、年間500万人もの人が訪れる。清水寺の特徴は「歴史的文化遺産」であることと「現在進行形仏教寺院」であること、というお話があった。大衆に開かれた玄関口のお寺として、1,200年の歴史を経てきたのだ。「今日のような日は、観光の目的とはまた異なり、心を振り返るために過ごしてみてください」と大西氏は話した。

お茶をいただいた後は、迎賓殿と同じ建物の中にある「仏足石」を見学。4mもある仏足石は、仏師であり僧侶でもある 西村公朝氏によるもの。ここで大西氏から、夢の話になぞらえて、大いなる力に支えられている幸せの話を聞いた。

大講堂を出て西門(さいもん)へ移動し、普段は閉ざされている門の中へ入る。西門は、朝廷からの使いが通る勅使門だという。極楽に向かって西向きのため西門と言われる。参道を登り切ってからさらに石段を登り、拝観口へと行く道の間にあり、京都市内や参道を行き交う人々を見渡すことができる。
清々しい気持ちのまま、清水寺内陣へ。内陣には本尊の十一面千手観音立像の前立仏(*)が祀られている。本尊は秘仏であるため通常厨子の扉は閉ざされているが、厨子前に安置されている本尊を模した前立仏でその姿を知ることができる。改修中のいまは、通常よりも前に前立仏が配置されているので、間近にお姿を拝見することができた。

(*)前立仏:前立仏は通常、厨子内に安置されている尊像と同じ姿の縮尺仏である。清水寺本堂の前立仏は像高138センチと本尊よりもひとまわり小さく、桧材の寄木造を漆箔で仕上げられている。

いよいよ清水寺の屋根へ足を踏み入れる

「清水の舞台」を抜けて本堂の裏側を通り、足場を上がっていくと目の前に巨大な屋根が現れた。丁寧に檜の皮が重ねられた屋根は、説明がなくとも、大変な工程を経て作られてきたことを伺わせてくれる。

50年に1度行われる屋根の葺き替え工事は、大政奉還から数えると今回で150年目で3回目の工事となる。
素屋根をつくる足場を組むのに半年、古い 檜皮(ひわだ)をめくるのに半年、葺き替えに半年と、1年半で順調に工程が進んでいるという。完成は2021年を予定しており、まさに屋根内部の状態は50年に1度しか見られない光景だ。

下を見下ろすと足がすくむほどの高さで、歩いていたのは、先ほど通った「清水の舞台」の上の部分だった。
「完成後にまた清水寺を詣でて、あの屋根部分に触れたのだな、と思うと、清水寺への思いもまた変わるのでは」そんなお話があった。確かにそのとおりで、ここで触れた屋根は、完成後にははるか頭上にそびえることだろう。またここに訪れる楽しみができた。

成就院で自然と豊かになる心

修理現場を後にして、山内の成就院(じょうじゅいん)へ向かう。成就院は、清水寺の塔頭寺院で、本日お話してくれた大西氏が住職を務めるお寺でもある。もとは「本願院」という名前であったが、5度の火災に見舞われた後、再建に携わった僧侶の願いが届き「成就院」と名前が変わったのだという。通常は期間限定のみで公開されるが、今回はJCB会員の方限定で開けてくれた。

足を踏み入れた瞬間、お寺を包む静謐な空気に心が穏やかになった。

縁側に腰掛けて「月の庭」を鑑賞する。高台寺山を借景に池の周りを草花が彩る豊かな庭を眺めると、清水寺がいかに広大な敷地の中に鎮座していることがわかる。そよ風と鳥の声を聞きながら1日を静かに振り返る。多くの人が訪れる清水寺境内の様子が嘘のように、手水鉢の水音まで聞こえる空間であった。

最後に大西氏からこんなお話があった。
「月の庭は公開していない期間も含め、日々庭師が手を入れ、いまの状態を保っています。昨日と今日とで同じ日常が過ぎているということには限りない力が働いているんです。平凡であることが素晴らしいことなのです。」

この景色を目の前にして、日常を変わりなく過ごせることや、身近な人への感謝の気持ちを、改めて感じられる時間となった。

このイベントについて
  • 日程・会場
開催日2019年6月22日(土)
会場名清水寺(京都)
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