東京バレエ団の十八番である
ロマンティック・バレエの名作「ジゼル」を
事前レクチャーと公演パンフレット付で

1964年に創立された国内外で高い評価を受ける東京バレエ団。その十八番であるロマンティック・バレエの名作「ジゼル」が、東京文化会館で5月19日（金）から21日（日）まで上演されました。JCBでは、5月20日（土）の公演チケットを事前レクチャーと公演パンフレット付でご用意。

東京バレエ団は、今年7月にこの「ジゼル」を携えて、オーストラリア公演を実施する予定です。
コロナ禍以後中止を余儀なくされ、4年ぶりとなるこの海外公演は、オーストラリア・バレエ団のシーズンプログラムのひとつとして、メルボルンの劇場で11回の上演が予定されています。
その前哨戦とも位置付けられる賑々しい東京公演となりました。

ル・コルビュジエらに師事した
建築家・前川國男氏の代表作のひとつ
東京文化会館

14時からの公演に先立ち、東京文化会館内の会議室で11時からレクチャーがスタートしました。
東京文化会館は、ル・コルビュジエらに師事した建築家・前川國男氏の代表作のひとつで、1961年竣工。モダニズム建築の粋が詰まった建物は、公共建築百選にも選ばれています。
まだ人気のない建物に入られた皆さんは、少しドキドキされているような表情でこれまで足を踏み入れたことのないエリアへチェックイン！　

元プロのバレエダンサーによる
分かりやすいレクチャー

レクチャーをしてくださったのは、公益財団法人日本舞台芸術振興会（NBS）の則竹江里子氏。
10代の頃にロシアへ留学し、バレエ学校卒業後はロシアのバレエ団で経験を積まれたという、元プロのバレエダンサーでもあります。

一番好きな作品は「ジゼル」という則竹氏は、ときにマイムを演じながら語る「ジゼル」の鑑賞ポイントとバレエの歴史を解説します。

則竹氏が以下のポイントを話してくれました。
1幕

• 家で裁縫をするのが好きなジゼルの「私は縫い物をしています」というマイムがあること
• ジゼルがしている花占いが「嫌い」で終わることが分かると、アルブレヒトが1枚抜いてしまうシーンがあること
• 悲劇が起きたあともう一度ジゼルが花占いのマイムを繰り返すこと

2幕

• ウィリーという結婚前に死んだ娘たちの霊が現れ、アルブレヒトとヒラリオンを死ぬまで踊らせようとすること
• ジゼルの霊が出てきてアルブレヒトを救おうとすること

ジゼル主演デビューの中島映理子氏、
柄本弾氏のアルブレヒト、
鳥海創氏のヒラリオンに魅了

この日が、ジゼル主演デビューの中島映理子氏、伯爵の身分を隠してジゼルと恋をするアルブレヒトを柄本弾氏、2人の恋を邪魔するヒラリオンを鳥海創氏が演じます。

1幕では、ジゼルは儚くも可憐に、アルブレヒトは正直ではあっても恐れるもののない様子で、村の若者たちと我が世の春を楽しみます。
楽し気な前半と、アルブレヒトに実は婚約者がいたことが分かる後半の対比も素晴らしく、真実を知ったジゼルが狂気を帯びていく様には本当に胸が痛みました。

1幕と2幕の間の休憩は20分。皆さん、ロビーに飾られている「ジゼル」の解説を読んだり、本公演のソリストたちのポワント（トゥシューズ）や豪華な生け花を見て過ごされていました。

暗い感じのする2幕こそ、実は踊りの見どころが多いとのこと。
則竹氏が教えてくれた注目ポイントは2つ。

• まるで本物の幽霊のように不気味で美しい「バドブレ」というつま先立ちで舞台を横切る踊り
• コール・ド・バレエ（群舞）がアラベスクという片足立ちのポーズで交差していく、東京バレエ団のセールスポイントとなるバレエ・ブラン（女性ダンサーたちが白いコスチュームで踊る場面）の踊り

注目するポイントが事前に分かっているので、見逃すことがないのはバレエを観るうえでとても重要です。印象深い鑑賞となりました。
ちなみにアラベスクで交差するこの群舞を、ロシアのバレエ団は「ニシン」と、東京バレエ団は「ゾウ」と呼ぶのだそう。

的確で深みのあるお話を聞いたうえでのバレエ鑑賞はとても有意義な時間となりました。参加者の皆さまからも、終了後、 「聞いておいてよかった！」との声をうかがうことができました。次回の企画もどうぞ、お楽しみに！