JCB MUSICAL

STAGE

2022.5.20

毎日新聞落語会
渋谷に福来たるSPECIAL2022
~落語フェスティバル的な~
supported by JCB

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【このSTAGEは】

『渋谷区文化総合センター大和田』で、
「毎日新聞落語会 渋谷に福来たるSPECIAL2022~落語フェスティバル的な~supported by JCB」
の公演が行われました。
実に3年ぶりの開催となるこのイベント。
今回は、4月8日(金)に行われた初日公演をレポートします!

「落語の春の祭典」

「渋谷に福来たるSPECIAL」は、毎日新聞とソニーミュージックのコラボレーションで2011年から始まった落語界春の恒例行事で、JCBは協賛として参加しています。
「ブームからムーヴ」を旗印に、落語会をけん引する実力派真打、新進気鋭の中堅若手真打、二ツ目が集結。落語あり、講談あり、浪曲ありのバラエティー豊かなプログラムで朝から晩まで大盛り上がりの3日間です。
渋谷区文化総合センター大和田の「伝承ホール」と「さくらホール」の2会場で、午前と午後に分かれて公演。 今回は、4月8日(金)に伝承ホールで公演された「ソーゾーシー 最新章 2022」を観劇。会場の雰囲気をお伝えします。

出演者サイン入りグッズの販売も。
開演前から気分高揚!

「ソーゾーシー」は2017年に結成された新作落語のユニットで、メンバーは春風亭昇々氏、瀧川鯉八氏、立川吉笑氏、玉川太福氏、玉川みね子(太福氏と共演)の5人。今回の「渋谷に福来たるSPECIAL」で披露されるのは「宇宙初公開」の新作ネタです。

今をときめく人気者の演目を観ようと、伝承ホールの前は開場時間前から観客でいっぱい。 もぎりが始まり、中に入ると席についてプログラムを眺めたり、サイン入りグッズを買ったりしながら、期待に胸膨らませて開幕の時を待ちます。

いざ、開演!
新進気鋭の噺家集団「ソーゾーシー」登場

開演時刻ちょうど。幕が開くと、満席の観客の前にソーゾーシーの4人が登場。ネタに入る前の挨拶となる「おしゃべり」が始まります。
トップバッターを務める玉川太福氏以外のメンバーは、おそろいのTシャツ姿。
「では、そろそろ始めますかね?」「始めなくてもいいんじゃない?」
力の抜けたカジュアルな恰好で軽妙なフリートークを繰り広げ、会場を沸かせます。
暖気運転から笑福。これはネタにも期待が高まる!

最初のネタ披露は、メンバー唯一の浪曲師である玉川太福氏と曲師の玉川みね子氏。
浪曲とは、曲師が奏でる三味線に乗せて浪曲師が歌と噺で物語を進めていくスタイルの演目です。

「みなさん、今日のネタは宇宙初公開。実はおかみさん(みね子氏)にもぶっつけ本番で合わせてもらうネタです。おかみさんがどう合わせるのかにも注目してくださいね!」と太福氏。ベベン! と、みね子氏が爪弾く弦の音に合わせ演目が始まります。
ネタの名は「理事道」。日本浪曲協会の理事を経験したとある男(太福氏)の悲喜こもごもを滑稽に描き出した作品です。抑揚の強い太福氏の歌や噺に引き込まれ、会場はどっと笑いに包まれます。

2番手に登場したのは、ソーゾーシーの発起人でもある笑福亭昇々氏。一風変わった舞台設定が作られることの多い新作落語ですが、この日の昇々氏のネタ「鳩ぽっぽ」は、全編鳩の目線で描かれる、想像の斜め上をいく作品。荒唐無稽な設定ながらも、「くるっぽー!」と身振り手振りを加えながら演じる昇々氏の姿を目の当たりにすると、まるで鳩が見ている情景が浮かんでくるよう。見えないものを噺で見せる、落語家の本領ここにあり!

「最近、暴露系のあの人のYouTubeに夢中でして」と、枕から不穏な笑いを投げ込んできたのは3番手・立川吉笑氏。お江戸の街中を舞台に、最近多くの人々から人気を集めているとある人物の舞台を描き出すネタ「我ぁ私ぃ」を披露。「おい!水戸黄門!あのとき印籠なくしたときはよう!」とか、「おい!大岡越前!てめえ今じゃ仲裁名人みたいに言われているけどなあ!」と、まくしたてる吉笑氏の姿は、現代で話題の誰かさんが乗り移っているよう。もちろん会場は大盛り上がり。

トリを飾ったのは、瀧川鯉八氏。ネタは「寮母はつらいよ」。とある学生寮をひとりで切り盛りする気風のいい寮母を主人公に、周囲の学生たちや街の人々たちとの交流を描いた、おかしくもちょっとホロリとくる人情噺。……と思いきや、物語中盤からどこか不穏な空気を醸し出し、まさかのどんでん返しが! 寮母になりきる鯉八氏の演技力もさることながら、テンポの良い噺、最後の最後で大爆笑をさらっていく構成は、まさにトリにぴったりな演目と言えるでしょう。

余韻冷めやらぬまま「あとがたり」へ。「おしゃべり」と同じく肩の力を抜いたトークで、この日のネタの振り返りをする5人。お互いのネタをこの日に目の当たりにすることもあり、秘められた裏話もちらほら出てきます。

再び笑いが起きる会場内ですが、楽しい時間には終わりが待っています。最後は観客も一緒に全員で手締め。
人々の笑顔でいっぱいだった2時間は、少しの名残惜しさを残して幕を下ろしました。

2時間があっという間に感じた今回の公演。「会場で演目を観る」「観客が一体になって笑う」。以前は当たり前のようにあった「エンターテインメント」の光景が、そこにはありました。 売り切れ必至の「渋谷に福来たるSPECIAL」。笑いが笑いを呼ぶ春の祭典。一見の価値あり!

このイベントについて
  • 日程・会場
開催日2022年4/8(金)~10(日)・4/30(土)(振替公演)
会場名渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール/さくらホール
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