
Vol.20 歌舞伎鑑賞と
開演前講座
Jan. 18. 2025 From 新橋演舞場(東京)
【JCBおとな塾とは】
知的好奇心を刺激する良質なエンターテインメントをお届けする、JCB独自の企画「JCBおとな塾」。
20回目となる今回は、新橋演舞場の「『双仮名手本三升』裏表忠臣蔵」を鑑賞。
主演の市川團十郎による一人四役の演じ分け、
そして、宙乗りをはじめとした歌舞伎らしい華やかな演出が見どころです。
チケットJCBでは、今回の公演をより深く楽しめるよう、
1等席チケット、開演前講座、公演プログラム、イヤホンガイド、お弁当、場内売店500円利用券(1日通しプランのみ)の
豪華特典がセットとなった特別なプランをご用意!
公演当日の「JCBおとな塾」をレポートします。
開演前講座をはじめとした
「JCBおとな塾」ならではの豪華特典が魅力!
今回の「『双仮名手本三升』裏表忠臣蔵」は、人形浄瑠璃および古典歌舞伎の三代名作と呼ばれる「仮名手本忠臣蔵」を元に、現代ならではの形に構成した作品である。
「江戸城松の廊下で吉良上野介に斬りかかった浅野内匠頭が切腹し、浅野家はお家取りつぶし。家臣である大石内蔵助たちが吉良邸へ討ち入りする」という、いわゆる江戸時代に起きた「赤穂事件」の流れを踏襲しつつ、時代背景を室町時代に設定し、登場人物も創作・脚色をされた全十一段の作品だ。
今回、主演の團十郎が演じるは大星由良之助、早野勘平、斧定九郎、高師直の四役。自身にとって15回目となる新橋演舞場正月公演を盛り上げる。
今回の「JCBおとな塾」では開演前講座が行われ、実に130名もの会員さまが参加。講師はイヤホンガイド解説員の鈴木多美さん。イヤホンガイドから流れる音声読み上げを担当している。
参加者への問いかけなども交えながら「『双仮名手本三升』裏表忠臣蔵」の舞台設定や各段の見どころなどを軽快に、わかりやすく説明。参加者の皆さまも講座に聴き入り、真剣な眼差しだ。
「ここからが良いところなのですが、もうすぐ開演のお時間です。この続きは、ご自身の目でご覧ください」と、鈴木さん。
瞬く間に時は過ぎ、開演まであとわずか。急いで席に着き、幕の上がる瞬間を待つ。
登場人物の人間模様が緻密に描かれた
物語性の高い昼の部
今回の「JCBおとな塾」は、「昼の部プラン」と「1日通しプラン」のふたつのプランをご用意。
昼の部では物語の発端を描く大序から六段目までをまとめた第一幕、第二幕を、夜の部では七段目と十一段目をまとめた第三幕、第四幕が楽しめる。
幕が上がり、最初の舞台は鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮。将軍・足利尊氏の弟・直義を迎え、朝廷方に味方して討ち死にした新田義貞の兜の奉納シーンから始まる。
ここで團十郎が演じるは、本作の敵役・高師直。身分が下の家臣の発言に腹を立てたり、調停役の塩治判官の妻に横恋慕をするなど、悪者でありながらコミカルな描写が目立ち、客席からはクスリと笑い声が漏れる場面も。
その後、師直の侮辱に耐えかねた判官が殿中で彼に斬りかかり、切腹を命じられる。腹に刃を突き立てたまさにその時、團十郎の二役目となる筆頭家老の大星由良之助が登場。判官のふり絞るような無念の言葉と、仇討ちを決意する由良之助の面持ちは、第一幕の見どころと言えよう。
場面替わって第二幕は、團十郎の三役目・早野勘平と四役目・斧定九郎が登場。
判官の一大事に駆けつけることができず、悔やむ勘平。そんな勘平を由良之助たちの仇討ちに加えてもらうため、身売りをして金を稼ごうとする妻・おかる。しかし、その前金を受け取ったおかるの父・与市兵衛を元・判官家の浪人である斧定九郎が殺害。さらに、その金を受け取った定九郎の父・九太夫をイノシシと見間違えて勘平が銃殺してしまう。
運命のいたずらに翻弄され、「義父である与市兵衛を殺してしまった」と苦悩する勘平は、ややあって切腹を決意。息を引き取るその瞬間、勘平の脳裏に浮かぶ仇討ちの瞬間。
舞台上に討ち入りの装束を纏った四十七士が勢揃いし、昼の部は幕を降ろす。
早着替えに宙乗りと、歌舞伎の華やかさが
余すことなく詰め込まれた夜の部
勇壮な雰囲気で幕を閉じた昼の部から一転、夜の部は祇園で遊びに興じる由良之助を描く第三幕から始まる。絢爛豪華な舞台で遊女たちが舞い踊る姿は、正月公演らしい華やかさを感じさせる。ここでは、由良之助の本心を探ろうと定九郎が床下に潜伏。さらに、第二幕で死んでしまった勘平が霊魂となっておかるに語り掛けるなど、團十郎の演じる人物が交錯する場面が増えていく。そして、それぞれの思惑が交差しながら、物語はクライマックスへ向けて徐々に盛り上がりを見せていく。
第四幕では、いよいよ討ち入りが描かれる。
見どころは團十郎による由良之助と定九郎、師直の早着替えだ。目まぐるしく人物が入れ替わるその様に客席はどよめき、拍手が巻き起こる。特に、多くの浪士を相手取り、舞台を所狭しと駆け回る定九郎の大立ち回りは圧巻のひと言。最後は霊魂となった勘平の弾丸に撃ち抜かれるが、その豪胆な魂は死しても死せず。本作最大の見せ場となる團十郎の宙乗りで、彼岸へ去っていくシーンを演出。数々の場面で観客の心を掴んだ定九郎の最期を、観客は固唾を飲んで見守る。
そして、討ち入りを終えた浪士たちが勝ちどきを上げ、終幕。
会場の拍手はいつまでも鳴りやまず。観劇の余韻は続くのだった。
「JCBおとな塾」で上質な文化体験を
「忠臣蔵」という題材の知名度の高さと物語のわかりやすさ。現代版に再構築されたことによるテンポの良さ。それでいて物語の厚みは損なわれず、目を奪われる華やかな演出で、歌舞伎ファンも初心者も楽しめる名作に昇華された「『双仮名手本三升』裏表忠臣蔵」。
今後も「JCBおとな塾」では、こうした知的好奇心を刺激する良質なエンターテインメントをお届けしていく。
- 次のレポートVol.14 歌舞伎鑑賞とバックステージ・ツアー
続けて読みたい!あなたにオススメの記事