名手揃いのジャズ・オーケストラと
超実力派ポップス・シンガーの共演

名手揃いのジャズ・オーケストラと超実力派ポップス・シンガーが、ブルーノート東京で“音楽する喜び”を炸裂させた。題して「ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ with special guests 佐藤竹善、露崎春女」。
全3日間にわたるプログラムのうち、11月1日(月)の初日公演(二部制)は、JCB会員だけが楽しめるプレミアムライブとなった。

ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラは、2013年に結成された文字通りの精鋭集団。パット・メセニー、マーカス・ミラーら数々のカリスマ的ミュージシャンと共演し、スイスの名門ジャズ祭“モントルー・ジャズ・フェスティバル”への出演も話題を集めた。

ファースト・ショーは、音楽監督を務めるトランペット奏者エリック・ミヤシロが作曲したオーケストラのテーマ・ソング「Blue Horizon」に始まり、スティーヴィー・ワンダーの名曲「Overjoyed」などを演奏。2021年の4月に亡くなったキーボード奏者・作曲家の和泉宏隆(“THE SQUARE /T-SQUARE”の元メンバー)に捧げた「宝島」と「OMENS OF LOVE」のメドレーでは、T-SQUAREの元メンバーである本田雅人がウィンド・シンセサイザー(管楽器の奏法で音を鳴らす電子楽器)を用いて熱演を繰り広げた。

インストゥルメンタル編成でジャズの幅広い世界を味わったあとは、いよいよ歌声の魅力に浸る番だ。盛大な拍手を受けて、佐藤竹善と露崎春女がステージに登場。佐藤は昨年4月に、エリックが音楽監督を務めたウィズ・オーケストラ・アルバム『Rockin' It Jazz Orchestra Live in 大阪(Osaka) ～Cornerstones 7～』を発表。リリース記念ツアーも計画したものの、折からのコロナ禍で実現できないまま今に至ってしまった。

ビリー・ジョエルの全米No.1ヒット曲「Tell Her About It」(あの娘にアタック)から、佐藤はオーケストラをバックに歌える嬉しさを全身から発散するように快唱する。シカゴの全米No.1ヒット曲「If You Leave Me Now」(愛ある別れ)での美麗なファルセット、オリジナル・ソング「VISION」における力強いスキャットにも引き込まれた。「ポップスとジャズの親和性を大切に活動していきたい」という言葉通りのステージだったが、その歌声に深みのあるバック・コーラスをつけていたのが露崎春女だ。彼女は90年代、佐藤竹善に認められて第一線に登場したといっても過言ではない存在。実力者同士の、実に楽しい“師弟共演”であった。

続いて2月に亡くなったチック・コリアの代表曲「Spain」をエリックのドラマティックな新編曲で聴かせ、アンコールで再びシンガーたちが登場。マンハッタン・トランスファーの歌唱で知られる「Twilight Zone/Twilight Tone」を、メリハリの利いたボーカル＋大編成ならではのゴージャスなアンサンブルの融合で届けてくれた。

ミュージシャンはもちろん、マスク越しのオーディエンスの表情も笑顔でいっぱい。ライブの醍醐味満載のひとときに、日常が少しずつ戻ってきていることをしっかりと感じたのは僕だけではないはずだ。

アーティストをイメージした本公演限定のオリジナルカクテル「BANBOO GOOD」
スタンダードカクテル、バンブーをアレンジしたスペシャル・カクテル。

(撮影：中村祥一)

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