初秋の夜を楽しむ東寺の特別拝観
JCB 秋の世界文化遺産 東寺 ライトアップ特別プラン
【この企画は】
京都屈指の名刹・東寺は、平安時代初期に弘法大師空海によって創建された真言宗の総本山。
今回開催の「JCB 秋の世界文化遺産 東寺 ライトアップ特別プラン」では、夜の東寺を堪能。
夜間拝観自体は春の桜シーズンと秋の紅葉シーズンに行われ、非常に多くの人で賑わっているが、
この日は静かな初秋の風景を、僧侶の丁寧な案内に導かれて楽しんだ。
特別な空間 小子房
境内北東にある慶賀門で受付を済ませ、いよいよ東寺へ。導かれるままに厳かな気持ちと興奮する気持ちを入り交じらせながら歩く。宝物館、大日堂、大師堂の前を通り過ぎ、一般非公開のエリア、本坊の小子房(しょうしぼう)へと進む。
小子房は天皇陛下や皇族、勅使をお迎えする建物で非公開。元は700年前の鎌倉時代、後宇多天皇が法皇となられて真言密教の研究をされた際の住房だったという。1934年の弘法大師空海の千百年御遠忌(ごおんき) に合わせて再建され、総檜造りの昭和を代表する建物だ。
6つに仕切られた部屋の襖を、画家の堂本印象が描いている。「瓜の間」は後宇多法皇が好んだスイカなどを描いていると聞き、法皇に親近感を覚えつつ各部屋を見学。墨の濃淡で表現された襖絵や、金箔と彩色で華やかに彩られた天皇陛下・皇后陛下が使われる「勅使の間」など、この日来なければ二度と見ることができなかっただろうと感動の思いに。
そばには澄心苑(ちょうしんえん)と名付けられた庭があり、弘法大師空海が都を離れて高野山へ旅立ちをされた「出発の門」が見える。大師の念持仏である不動明王が見送るために歩いて来て、その足跡から蓮華が咲いたことから「蓮華門」と呼ばれているという。
澄心苑を眺める本坊の広間で食事をいただいた。京料理店「木乃婦(きのぶ)」による特製弁当で、八寸や焚合せ、揚物、焼物など豪華な内容。京都の松井酒造の日本酒もセットに。庭から聞こえる虫の音を聞きながら、ひとときを過ごした。
ライトアップされた庭を巡り五重塔へ
食事が終わると境内の散策が始まる。まず紹介されたのが、樹齢300年の大きな枝垂れ桜や、池に五重塔が逆さに写っている絶好の撮影スポット、「開かずの門」と呼ばれている東大門の説明を受けて、五重塔の足元へ。
境内の南東の角にある、高さ55mの五重塔は、日本で一番高い五重塔なのだとか。実は何度も再建と焼失を繰り返し、現在の塔は5代目で江戸時代初期、3代将軍・徳川家光の寄進で完成した。
そもそも五重塔とは、お釈迦様の遺骨を納めた仏舎利(ぶっしゃり)塔のこと。つまりお墓である。しかも一から五層目は、地・水・火・風・空という世界の構成要素を表しているという。ただの塔ではないということだ。
ここでも特別に、一から五層目の屋根まで中心を貫き、大日如来に見立てている心柱、東西南北それぞれに安置された阿しゅく如来、不空成就如来、阿弥陀如来、宝生如来の各像、壁画を見学。
金堂・講堂の仏像にご対面
金堂には東寺のご本尊・薬師如来と日光菩薩、月光菩薩が安置されている。薬師如来には十二神将も控えている。「薬師如来は私たちの病気を治し、寿命を延ばして長生きさせてくれる現代のお医者さんのような存在。光背の七仏薬師如来は専門のお医者さんで、日光菩薩・月光菩薩は看護師に例えられます」と語る僧侶。つまり金堂は、大きな病院なんですね。
講堂には弘法大師によって作られた、22体の仏像による立体曼荼羅が展開されている。4つのグループに分かれていて、真ん中の金色に輝く五体が如来グループ、入口側の菩薩グループ、奥にある明王グループ、そしてこれらを守るべく、両側に配された天部グループ。この中の16体が平安時代初期の作との説明に、参加者からは思わず感嘆の声が上がった。
夕闇の東寺に響く篠笛の音色
休憩を挟み、最後は金堂前で篠笛奏者・佐藤和哉による「篠笛コンサート」で数時間の東寺の旅を締めくくった。演奏されたのは、京都の民謡「竹田の子守歌」、オリジナル曲「オベールの祈り」、月を愛でる「きみとみる月」や「荒城の月」、オリジナル曲「古道」と「さくら色のワルツ」の計6曲。伸びやかで美しい音色をうっとりと聞きながら東寺のライトアップ風景を眺め、ゆったりとした気分に。
東寺の普段見られない場所まで、詳しい説明と共に見学できた特別感満載のひととき。JCB会員限定プランに参加して、このうえなく極上の時間が感じられた数時間だった。
※境内の見学順序等は、当日執筆者が参加したグループです。
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